退職 | 2021年6月1日

「自己都合退職」と「会社都合退職」どっちが有利な退職?

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コンサルタント

神谷 貴宏

3,000人以上の転職をサポートしてきたベテランコンサルタント。大手証券会社、半導体商社、総合人材サービス会社を経て転職支援会社へ入社。「心から満足できる出会い」をモットーに、日々業務に取り組んでいる。趣味はゴルフ。

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会社側が一方的に労働契約を解約する「会社都合退職」と、労働者側から自発的に退職を願い出る「自己都合退職」。

前者の方がメリットは大きいとよく耳にしますが、それは事実なのでしょうか?

今回は「自己都合」と「会社都合」2種類の退職について紹介いたします。

1.どんなケースが「会社都合退職」「自己都合退職」に当てはまる?

 

「会社都合退職」と「自己都合退職」の違いは、退職原因が会社側と労働者側のどちらにあるかという点です。

会社側に原因があるのに知識がなかったために、自己都合になってしまったという事態にならないようきちんと把握しておきましょう。

リストラ、パワハラ、セクハラなどでの退職は「会社都合」

労働者が退職せざるを得ない原因が会社側にあれば、「会社都合退職」になります。

一般的には、会社の経営破たんや業績悪化によるリストラをイメージされることが多いですが、勤務地移転により通勤が難しくなった場合、パワハラ・セクハラの被害を受けて辞める場合なども該当します。

さらに、早期退職優遇制度を利用した場合も会社都合に含まれます。

転職や家庭の事情、寿退社などは「自己都合」

「自己都合退職」は最もポピュラーといえる形式で、退職理由が転職や結婚、妊娠、病気、家庭の事情など労働者本人の意思や都合に起因すれば「自己都合退職」になります。

なお、会社で大きなトラブルを起こしたり、法律を犯してしまったりした場合、懲戒免職や懲戒解雇となる場合も「自己都合退職」に該当します。

2. 「会社都合退職」の方が得だといわれる理由

言葉の定義だけだとそこまで多いな違いがあるようには見えません。

では何故、「自己都合退職」より「会社都合退職」の方が有利だといわれているのでしょうか?

その理由は、もらえる“手当”の違いにあります。

「会社都合は」あらゆる面で失業手当が優遇される

失業給付金を早く受け取れる

自己都合退職だと、失業給付金を受け取るにはハローワークで手続きを行ってから最短でも3カ月と7日かかります。

ところが、会社都合退職だと1週間しかかからないので、自己都合退職に比べて早期に失業手当を受け取れます。

失業手当の給付日数が長く、最大140万以上多く受け取れる

失業給付金が支給される日数は、自己都合退職の場合は90日から最大150日ですが、会社都合退職の場合は90日から最大330日と2倍以上。

給付日数に差があるということは当然、給付総額も変わってきます。

自己都合退職でもらえる失業手当の金額が最大260万円に対して、会社都合退職でもらえる失業手当は最大118万円と、場合によっては140万円もの開きが生まれることもあります。

出典元:「ハローワークインターネットサービス」https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html

会社から解雇予告手当が支給される

解雇予告手当とは

正社員は契約期間に定めのない雇用形態なので、“会社側が正社員である労働者との契約関係を解約する場合は30日前にその予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない”と労働基準法20条で定められています。

この“30日分以上の平均賃金を支払わなければならない”に当たるのが解雇予告手当です。

ちなみに解雇予告とは、「〇月〇日に解雇する」といった具体的な通告のことを指します。

解雇予告手当で支給される総額は?

解雇予告手当の支給額は、それまでの平均賃金と解雇通知を受けたタイミングによって異なります。

解雇予告手当の目安となる“平均賃金”は、解雇通告された日から直近3カ月の給料の平均額です。

「20日後に退職してほしい」と通告を受けた場合、その平均額の10日分(約1/3)となる金額が退職日に支給されます。

3. 会社側は極力「会社都合退職」にしたくない

実際は会社都合なのに「自己都合退職」という形で辞めさせられたという話もチラホラ耳にします。

会社側にとって、労働者を「会社都合退職」させることは非常にリスクが大きいことなのです。

会社が背負うリスク

国からの助成金がもらえなくなる

厚生労働省が実施する助成金のなかには、トライアル雇用奨励金や特定求職者開発助成金、中小企業基盤人材確保助成金など労働者を雇い入れることによって申請できるものがあります。

これらの助成金はさまざまな基準をクリアして受け取れるもので、会社都合退職者を出さないこともその基準に含まれていることが多いのです。

解雇権の濫用に該当する恐れも

基本的に労働者は労働基準法によって保護されている立場にあります。

そのため、会社都合退職がきっかけで労働者から民事訴訟を起こされた場合、会社側が敗訴となる可能性が高いのです。

たとえ敗訴とまではいかなくても、裁判に発展するだけで会社の信用低下に繋がってしまいます。

会社から「自己都合退職にしてほしい」と要求されたら……

自己都合退職を望まないのであれば、会社側の要求をはっきりと断ることが最も大切です。

会社都合退職の場合、退職届や退職願を提出する必要はありません。
会社側からそれらの提出を求められても安易に了承せず、話し合いに持ち込むようしましょう。

もし、望まないまま離職票に自己都合退職と書かれてしまった場合は、離職票の「具体的事情記載欄(離職者用)」という項目に具体的な情報を記載した上で、それが不当だと証明できるものと併せてハローワークに提出すれば、会社都合退職に修正されることもあります。

4. 気を付けておきたい「会社都合退職」の落とし穴

これまでの説明だと、世間一般で言われている通り「会社都合退職」の方が「自己都合退職」よりも圧倒的に恩恵が大きいように見えます。
しかし、当然ながらデメリットも存在します。

人事担当者からの印象が悪くなる可能性も

転職活動を行う際、応募先への履歴書や職務経歴書の提出は不可欠です。

その際、書類に「会社都合退職」の明記があると、選考の段階で不利になってしまう場合もあります。

通常、よほどの事情がなければ会社側から労働者を辞めさせることはありません。
それは労働者が優秀な人材であるほど顕著です。

しかし、そうでありながら会社都合で退職したということは、「マイナスな要因で会社から解雇された人間なのかもしれない」と人事担当者に疑念を持たれてしまう恐れがあります。

人事担当者にいつ聞かれても答えられるよう、会社都合退職の理由を準備しておくと良いでしょう。

履歴書などに記載する場合は、具体的な理由を簡単に添えるというのも効果的です。

5.まとめ

退職後に受けられる社会的補助が大きいという面で、「自己都合退職」よりも「会社都合退職」の方が有利なのは事実ですが、いざ転職活動を進めるとなると必ずしもそうとは言い切れない部分もあるようです。

ただし、退職の原因が会社側にあるとはっきり証明できるなら話は別です。

会社の要求に従った結果、不当な「自己都合退職」になってしまったという事態にならないよう注意しましょう。

転職エージェントを利用すれば、「自己都合退職」「会社都合退職」関わらず、企業の採用担当者にあなたを最大限アピールしてくれます。

また、履歴書の添削や面接対策など、あなたが選考を通過できるよう無料でサポートしてくれるので、転職を考えている方はまずは転職エージェントに登録してみてください。

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神谷 貴宏

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