地域の転職情報 | 2022年8月20日

山形県の「住みやすさ」はエリアで異なる? UIターンで気になる働きやすさ・暮らしやすさとは

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コンサルタント

大阪 太祐

東京の大手不動産でリテール営業を経験。30歳を節目に故郷の東北へUターンし、地元の転職支援会社へ入社。主に20~30代の若い人材のキャリアカウンセリングや、転職活動サポートを担当している。趣味はライブ鑑賞とスノーボード。

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山形県にUターン転職した方の中には、「一度、山形を離れたことで暮らしやすさがわかった」という方が多くいます。

暮らしやすいといわれる山形には、どんな特徴があるのでしょうか。また、山形に転職するなら働きやすい環境かどうかも気になるところでしょう。

そんな方々のために今回は、平均年収や転職事情、山形の気候、物価、交通機関などから山形の暮らしやすさ、働きやすさを紹介します。

1.山形県の食と暮らし

山形県の住みやすさについて紹介する前に、まずは山形県の食や暮らしについて見ていきましょう。地方には都会とは違って、土地ごとの風土に特徴があり、それに対応するように食や暮らしが形成されていきます。食や暮らし、風土は住みやすさに大きく関係するため、あらかじめ確認しておきましょう。

山形県の地域ごとに異なる気象特性

山形県の地域ごとに異なる気象特性山形県は、大きく4つのエリア(庄内地方・最上地方・村山地方・置賜地方)に分けられ、それぞれのエリアで気象の特性が異なります。

たとえば、日本海に面する庄内地方は降雪量が少ないのに対し、東に隣接する最上地方は豪雪地帯といわれるほど降雪量が多い地域です。

山形市のある村山地方の平野部は昼夜の温度変化や季節による気温差が大きく、「夏が暑い」といわれています。

ただし、山形県の中では比較的雨や雪が少ないエリアです。

引用元:山形地方気象台「山形県の気象特性」http://www.jma-net.go.jp/yamagata/kishou_tokusei/kishoutokusei_top.html
参考:山形県ホームページ「村山地域の紹介」http://www.pref.yamagata.jp/regional/murayama_bo/introduction/murayama.html

2.山形の収入と物価山形県の収入や物価について、全国順位などから山形県の特徴をご紹介します。

山形県の平均年収371.5万円は全国42位

山形県における月々の平均賃金は、厚生労働省の「平成28年賃金構造基本統計調査」によると24.2万円。

山形県の平均賃金は全国の30.4万円と比べ6万円もの差があります。

厚労省の同じ調査を基に都道府県別の平均年収を算出したところ、山形県の平均年収は371.5万円でした。東北6県の平均年収は全国では低い数字で、平均年収が400万円を超えたのは宮城県(455.5万円)と福島県(410.9万円)だけでした。

参考:厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査の概況」、p28http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2016/dl/13.pdf
参考:厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査」の一般労働者、都道府県別のデータを用いて算出。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&tclassID=000001062233&cycleCode=0&requestSender=estat
※平均年収は、「毎月決まって支給する現金給与額×12か月+年間の賞与その他の特別給与額」で算出したものです。

山形県に本社がある上場企業の平均年収

山形県内に本社を置いている上場企業のうち、以下の6企業が平成29年に発表した「有価証券報告書」を基に平均年収を比較しました。

いずれの企業も山形県の平均年収(371.5万円)より高く、山形銀行(620.8万円)は250万円ほど上回っています。

参考:以下の情報を基に作成。

・株式会社山形銀行「有価証券報告書」p6http://www.yamagatabank.co.jp/investor/library/kessan/houkoku/img/29_03.pdf
・株式会社かわでん「有価証券報告書」p6http://navigator.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx?cat=yuho_pdf&sid=2530003&code=6648&ln=ja&disp=simple
・日東ベスト株式会社「有価証券報告書」p7http://www.nittobest.co.jp/archives/002/201706/第79期%20有価証券報告書.pdf
・エヌ・デーソフトウェア株式会社「有価証券報告書」p7http://v3.eir-parts.net/EIR/View.aspx?cat=yuho_pdf&sid=2530253
・ミクロン精密株式会社「有価証券報告書」p5http://www.micron-grinder.co.jp/_src/7133/20171122002.pdf
株式会社ヤマザワ「有価証券報告書」p5http://yamazawa.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/06/3fdb7f8911ca34dac6aaedb82532ace7.pdf

山形市の平均所得は303万円

山形県内の市町村別平均所得について、総務省の「平成28年度市町村税課税状況の調べ」を用いて算出したところ、山形市の平均所得は303.0万円でした。

山形市に比べると、2位の天童市(270.0万円)は30万円以上の開きがあります。

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参考:総務省「平成28年度 市町村税課税状況の調べ」、市町村別「第11表 課税標準額段階別平成28年度分所得割額等に関する調べ(合計)」の情報を基に算出。http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/ichiran09_16.html
※平均所得は「課税対象所得÷所得割の納税義務者数」で算出しました。平均所得は課税対象所得を基に求めるため、平均年収より低い額となります。

山形市の物価はやや高め

山形市の物価については、総務省の同じ調査で「都市別指数」を基に見ていきましょう。

都市別指数は、全国の都道府県庁所在地(47市)と政令指定都市(5市)の物価水準を表す指標です。

山形市の平成28年の物価指数は100.4で、全国平均(100)よりやや高い状態となっています。また、東北6県の中では福島市が最も高く、次いで山形市が続いています。

参考:総務省「小売物価統計調査(構造編)平成28結果」(報道資料)、p16 http://www.stat.go.jp/data/kouri/kouzou/pdf/g_2016.pdf  参考:総務省「小売物価統計調査(構造編)平成28結果」(報道資料)、p16の情報を基に作成。http://www.stat.go.jp/data/kouri/kouzou/pdf/g_2016.pdf

山形県は光熱費や水道料金も高い

総務省の同じ調査で物価指数を品目で分けると、山形県は光熱水費の高さが目立ちます。山形県における光熱水費の物価指数は、平成27年の調査では109.5(全国3位)でしたが、平成28年には111.6に上昇し、北海道に次いで全国2位となりました。

山形県の光熱水費が高い理由の1つは、山形県には豪雪地帯が多いため暖房代が高額になることが挙げられます。

また、水道料金が高いのは、山形県は利水目的のダム建設をはじめ、山間部に給水施設を建設するためにコストがかかり、濾過機能の高い浄水場を整備したことなどが影響しているようです。

さらに、山形県では都市ガスの普及が遅れており、主流のプロパンガスはほとんど競合がないため「価格低下が期待できない」などの声もあります。

山形市の光熱水費は全国トップ

総務省の家計調査(二人以上の世帯)を基に1年間の支出額を品目別にみると、山形市の光熱水費は約35.2万円で、全国一の高さです。

山形市と全国平均(27.2万円)との差は8万円、光熱水費がもっとも低くかった宮崎市(21.3万円)と比べると14万円ほどの開きがあります。

山形市は雪の少ない地域ですが盆地のため夏は暑く、寒暖差も大きいため電気代や灯油代がかかるのでしょう。さらに、高い水道代も山形市の物価を押し上げているようです。

参考:総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(※)、平成26年(2014年)~28年(2016年)平均、食料以外」の情報を基に作成。www.stat.go.jp/data/kakei/5.htm ※ランキングは、家計調査における1世帯当たりの品目別年間支出金額(二人以上の世帯)を都道府県庁所在地と政令指定都市(川崎市、相模原市、浜松市、堺市、北九州市)の52市の中で順位づけたものです。

山形市内の1LDKや2DKの平均賃料は5.3万円

公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会の賃料相場をみると、山形県内の市町村別平均賃料は以下のように山形市内の物件が高めとなっています。

参考:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会「賃料相場:山形県」(平成30年1月8日更新)の情報を基に作成。http://analytics.hatomarksite.com/stat/rent/06/

山形市内にある物件の中には、駅から徒歩5分ほどの1LDKが6万円程度ということもあります。しかし、駅から徒歩10分以内で探すより、少し離れたエリアがおすすめ。物件数が多く、比較的安く探せる可能性もあるので広めのエリアで検討するとよいでしょう。

3. 山形県の交通機関

山形県は新幹線のほかに、飛行機も利用できるのが魅力です。

山形空港から羽田までは65分!

山形県内には山形空港と庄内空港の2つの空港があります。山形空港から東京(羽田)までは65分、また、名古屋(小牧)や大阪(伊丹)、札幌(新千歳)へのフライトも可能です。

庄内空港は東京線のみですが、一日に4往復の便が出ています。

山形駅から新幹線に乗れば東京まで3時間

山形県では、県の中央を走るJR奥羽本線、山形と仙台を結ぶJR仙山線などの在来線、他に山形新幹線や山形鉄道フラワー長井線なども利用できます。

山形新幹線は福島駅で東北新幹線に接続しているため、山形駅から東京駅までの所要時間は3時間ほどです。

山形での生活には車があると便利

山形県は1世帯あたりの自家用車の数が多く(1.68台:平成29年3月現在)、全国3位です。

山形県では電車やバスも利用できますが、都会のように本数が多い訳ではありません。「生活の足」として車があると暮らしやすいでしょう。

4. 山形県の雇用情勢は改善傾向!

ここでは、山形県での転職市場を見ていきます。

山形県の有効求人倍率は1.66倍

まで上昇山形県が行った「平成28年 山形県労働条件等実態調査」によると、正社員が不足している事業所は47.1%でした。

また、山形県の有効求人倍率は、平成29年11月には1.66倍に上昇しました。山形県は全国平均の1.56倍を上回っており、山形労働局も「山形県の雇用情勢は改善傾向にある」としています。

「正社員になりたい」という希望がある方にとって、山形県は「転職のチャンス」ともいえそうです。

山形県の離職率は全国45位

総務省のデータによると、平成24年の離職率は全国平均が5.0%のところ、山形県は4.2%と低い数字でした。

全国45位の低い離職率を考えると、山形県内の企業は定着率が高く、働きやすい環境といえそうです。

ただし、離職率が低いということは離職に伴う求人が少なく、特に条件のよい企業が出す求人は競争率が高くなると予想されます。高い競争率の中で転職を勝ち取るためには、転職活動をより効率よく進めていくことが重要です。

Uターン理由1位は「山形が好きだから」

山形県がUターン就職した人を対象に行った調査をみると、Uターンの理由(きっかけ)で多かったのは次のような理由でした。

参考:山形県総合政策審議会「若者のUターン促進について」の情報を基に作成。http://www2.pref.yamagata.jp/ou/kikakushinko/020060/kikakupdf/yamagatasougouseisakushingikai/yamagatasougouseisakushingikai/h25/publicfolder201402136227986812/1430108cc765994301182e58005306eU30bf30fc30f34fc39032306b306430443066.pdf

中には、家族の希望や家の事情とは別に「親元に近いところ、または親と同居したいから」という理由を挙げる人(17.4%)もいました。

実は、山形県は以前から3世代同居世帯の割合が高く、平成27年の国勢調査でも1世帯あたりの人数(2.78人)が全国一多い県だということが分かっています。

参考:山形県「じんこうTOPICS」平成28年12月https://www.pref.yamagata.jp/ou/kikakushinko/020052/data/jink/H28jinkogepo/28_12.topics.pdf

「人とのつながり」や「人のあたたかさ」も大きな魅力

Uターン就職した方からは「都会の人の冷たさに疲れた」「山形の人はあたたかい」「山形のよさを改めて感じ」など山形の魅力を再発見したという声もありました。

山形県は都会のように娯楽施設がそろっている訳ではなく、交通機関も発達していません。しかも、山形県の平均収入は低く、物価は高めというハンディもあります。

しかし、世代を超えた人の「つながり」や人の「あたたかさ」といった数字では表しにくい魅力が山形にはあります。「あたたかな人間関係の中で働きたい」「田舎でのんびり暮らしたい」という方には、山形は働きやすく、暮らしやすいかもしれません。

5. まとめ

山形は自然が豊かで、食べ物がおいしいというのも魅力ですが、物価はやや高め。山形での生活を楽しみ、家計にゆとりを持たせるにはやはり年収が肝といえるでしょう。

山形県の雇用情勢は改善してきましたが、油断は禁物です。「少しでも条件の良い企業に入りたい」という方は山形に強い転職エージェントを利用しながら転職活動を着実かつ、効率よく進めていきましょう。

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東京の大手不動産でリテール営業を経験。30歳を節目に故郷の東北へUターンし、地元の転職支援会社へ入社。主に20~30代の若い人材のキャリアカウンセリングや、転職活動サポートを担当している。趣味はライブ鑑賞とスノーボード。

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